漂流教室(楳図かずお)ネタバレなしで人類の「希望」を描いた名作漫画の見所を紹介します

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【作品データ】

作品名漂流教室
作者楳図かずお
連載誌週刊少年サンデー(小学館)
連載期間1972年(昭和47年)~1974年(昭和49年)
単行本全11巻(文庫版は、全6巻)
電子書籍あり

 

【作品概要】

大和小学校の6年生・高松翔(たかまつ しょう)は、授業中にもの凄い爆音とともに激しい地震に襲われます。

揺れはすぐに収まりましたが、学校の外を見てみると…。

何と、辺り一面砂で覆われ、荒れ果てた大地が広がっていたのです。

人類の愚かさ・狂気・強さ・希望を独特のタッチで描き切った、壮大なSF感動大作です。

 

赤白のボーダーシャツを着て、たまにTVに出ているけったいなオッサン「楳図かずお」先生の代表作・漂流教室を紹介します。

本作は、「十五少年漂流記」を現代版にアレンジし、SF要素も加味して仕上げられた「SF少年サバイバル漫画」の金字塔です。

さらに、思いっきりホラーテイストな楳図先生の画風が、その世界観を一層際立たせています。

TVで見かけるけったいなオッサンが、実は、偉大な漫画家だったことを思い知らされる名作「漂流教室」を存分にお楽しみください。

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本作の見所①(ストーリー)

それでは早速、漂流教室の見所としてストーリーから紹介していきたいのですが…。

本作のような漫画の場合、「全体のストーリー」と「話の展開」、そして「ラスト(終わり方)」が一番の見所になります。

そのため、できれば「事前情報なし」でお読みいただくのが一番オススメの読み方です。

ただ、そうするとこの記事を書く意味がなくなってしまいますので、できる限りネタバレのないように序盤のストーリーを中心に紹介していきたいと思います。

もし、事前情報なしで本作を読みたい方は、記事の最後へジャンプ!してくださいね。

 

【ストーリー①】

本作の主人公・高松翔くん(小学校6年生)は、些細なことで母親とケンカをしてしまいます。

「もう二度と帰ってこないから!」そう言い捨てて学校へ向かった翔くんでしたが、時間が経つにつれ「お母さんに悪いことしたな、帰ったら謝ろう…」という気持ちになっていきます。

ところが。

朝礼が終わった後のホームルームで、「それ」は突然やってきたのです。

「みんな、教室が動いているぞ!」

「ドッ・ドッ・ドドド・ド~ッ!」

轟音ともに激しい揺れが教室を襲い、悲鳴を上げる生徒たち。

突然のことに驚愕する生徒を、担任の先生が落ち着かせます。

「机の下に隠れるんだ!」

………。

しばらくすると音も揺れもおさまり、ホッとする翔くんたちでしたが、その時、校庭から大きな悲鳴が聞こえてきました。

 

物語の冒頭は、主人公の翔くんとお母さんの親子ゲンカのシーンから始まります。

些細なことで起こるよくある親子ゲンカの風景なのですが、この冒頭のシーンは本作を読む上での重要なポイントとなります。

なぜなら、この漫画のコンセプトの1つとして「親子の愛(絆)」が挙げられるからです。

お互い親子ゲンカのことを深く反省し、謝って仲直りしようと思っていた矢先に起きた大地震。

翔くんとお母さんの親子の絆は、この後のストーリーに大きく関わってきます。

【ストーリー②】

校庭で悲鳴を上げたのは、学校の先生の1人でした。

それを見た担任の先生は、校庭へ様子を見に行きます。

さらに、教室の窓から他の先生たちも揃って校門の方へ駆けていくのを見た翔くんは、何事かと思い教室を飛び出しました。

「何かあったんですか?先生!」

翔くんの問いかけに答えず、ただ門の外を眺めているだけの先生たち。

その後ろから、そっと外の様子を窺った翔くんは…。

「あっ!」

そこには、誰もが絶句してしまうような光景が広がっていたのです。

 

この学校の外の様子を写す一連のシーンは圧巻で、見開きページを2ページ連続で描いています。

また、先ほどの大地震があった時(と、あった後)の描写も圧巻のひと言で、楳図先生はホラータッチの人物描写が有名ですが、白と黒を基調とした緻密な風景描写も秀逸なのです。

そして、肝心の学校の外の風景はというと、上空には厚く垂れこめる灰色の雲が、目の前には地面を覆い尽くす一面の砂漠が広がっていたのでした。

「一体何がどうなっているのか?」

この辺りで、本作のストーリーにグッと引き込まれていきますよ。

【ストーリー③】

まずパニックに陥ったのは、子供たちでした。

急いで校内に戻った翔くんは、みんなに外の様子を告げます。

最初は半信半疑だった子供たちも、廊下側の窓から見える風景や屋上から見える風景に言葉を失い、パニックに陥ってしまうのです。

子供たちが真っ先に考えたのは、お父さん・お母さんのこと、そして家に帰りたいということ。

周りの景色の変わりようを目の当たりにした生徒たちは、一斉に校門めがけて走り出します。

しかし、それを食い止めたのは、大人である先生たちでした。

 

ここまでのストーリーで最大の謎となるのは、「ここが、どこなのか?」ということです。

これは本作の第1話でも描かれているのですが、実は、小学校(学校の敷地そっくりそのまま)だけが、別の世界に移動しています。

ただ、そこが「どこなのか?」ということはこの時点では描かれておらず、それが判明するのは、もう少しストーリーが進んでからになります。

翔くんたちのいる世界がどこなのか?は、この漫画の根幹に関わるため伏せておきますね。

 

今まで自分たちが暮らしていた世界とは違う世界だろうということに気付いた大人たちは、子供たちに対して次のような態度を取ることに決めるのでした。

【ストーリー④】

小学校がそっくりそのまま別の世界に移動したということは、その敷地内に居た人間も、全員一緒に別の世界に移動したことになります。

そこには、1年生から6年生まで幅広い年齢の子供たちが含まれています。

そこで、子供たち(特に、まだ幼い下級生)を安心させるため、先生たちは「ある嘘」をつくことにしました。

  • この場所は、我々が住んでいた場所とは「違う土地」だということ。
  • ただ、なぜいきなり違う土地に来てしまったのかは分からないので、一生懸命調べている最中だということ。
  • 放送室の無線から日本のニュースが流れてきて、我々を探してくれているということ。
  • そして、お父さんとお母さんも生きていて、君たちを探しているということ。

実際には、電気・ガス・水道などは使うことができず、電話はもちろん電波の類いも一切入らない場所にいるにも拘わらず、です。

そして現時点では、この学校にいる人間以外の生死は不明であることも伏せておいたのです。

…が、それも長くは続きませんでした。

 

なぜなら、この後、ある1人の男性を残して大人が全員死んでしまうからです。(その残った1人も、ある事情により頼りにすることができなくなります)

最初は毅然としていた大人たちも、次第にこの現実を受け入れることを拒み始め、遂には…。

 

ここから、子供たちだけの「命懸け」のサバイバル生活が始まります。

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本作の見所②(人間の闇)

ここまでが、本作「漂流教室」の序盤のストーリーとなり、本作的なサバイバル漫画としての真骨頂はこの後から描かれます。

残された子供たちが、知恵と勇気と団結力をもってこの世界を生き抜いていく姿は、この作品の大きな見所でもあるのですが…。

本作は、少年サバイバル漫画であると同時に、ある種の「パニック漫画」でもあります。

いくら子供たちだけの生活と言っても、きれいごとだけでは生きていくことができません。

そこには、極限のパニック状態に陥った子供たちの恐怖・怯え・悩み・猜疑心・独占欲・仲間割れ・妬み・企み・暴力などの「闇の部分」が必ず存在します。

もちろん、それは大人たちも同じなのですが、大人はすぐ死んでしまったので…。

 

特に、「水と食料」。

この点に関しては比較的序盤からトラブルが起こるように描かれており、老若男女問わず、人間誰しもが持つ「本能としての食欲」という部分を利用した心理描写は非常にリアル感があります。

そして、絶対に外せない「権力争い」についても、子供だからと侮ってはいけません。

上に立つ者、それに従う者、支援する者、反抗する者、長いものに巻かれる者…、十人十色な子供たちの様子が、より一層のリアル感を醸し出しています。

こういった、上っ面だけではない人間の心理を容赦なく描き切っているところに、この漫画の凄味というか、楳図先生のスゴさがあるのでしょうね。

人間の負の部分(心理)を描いた作品って、読者の共感を呼びやすいんですよね。

そして、楳図先生のホラータッチの画風は、ホントにこの漫画の世界観を際立たせてくれています。

 

さらに、結構簡単に子供たちが死んじゃったりするので「死のリアルさ」という点でも、読者に迫るものがあります。

ただ、そんな中、ひとりだけ異彩を放っているのが、主人公の「高松翔くん」です。

翔くんは、この漫画の「良心」であり「光」でもあるのです。

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本作の見所③(キーキャラクター)

勉強はさほど出来ないものの、正義感と責任感で出来ているような少年・翔くん。

子供たちの初代「総理大臣」となった翔くんは、抜群のリーダーシップと行動力でみんなを引っ張っていきます。

最初から最後まで主人公の翔くんを中心に描かれている本作ですが、翔くん以外にも物語の重要なカギを握るキーキャラクターが存在します。

それが、「西 あゆみ」ちゃんと「小野田 勇一」くんです。

翔くんより1つ年下の西あゆみちゃんは、足が不自由(松葉づえ使用)で物静かな美少女です。

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(©楳図かずお/漂流教室 第2巻)

 

但し、本作のメインヒロインではなく、あくまでも脇役のひとりに過ぎません。

メインヒロインは、川田咲子(かわだ さきこ)という、翔くんと同じクラスの女の子です。

 

そんなチョイ役の域を出ない西さんなのですが、ストーリーの進行上、非常に大きな役割を担っています。

なぜなら、もし彼女がいなければ、翔くんは「最低でも2回」死んでいるからです。

彼女は「ある不思議な能力」を持っており、その能力で翔くんをピンチから救います。

そしてそれは、本作のコンセプトの1つである「親子の絆(翔くんとお母さん)」に、大きく関わってくるのです。

翔くん・お母さん・西さんの3者がどのように関係してくるのかは、是非本編でお確かめください。

 

ただですね、そんなスゴイ力を持っている割には、結構雑な扱われ方をしてしまうという悲しい脇役の宿命を背負っているキャラクターでもあります。

 

続いてのキーキャラクターは、無邪気な三歳児・小野田勇一くん(通称:ユウちゃん)です。

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(©楳図かずお/漂流教室 第2巻)

 

翔くんたちが大地震に見舞われたその日・その時、たまたま校庭で遊んでいたユウちゃんも、一緒にこの世界に来てしまったのです。

登場する子供たちの中で最も幼いユウちゃんですが、彼もまたストーリーに影響する大きな役割を2つ与えられています。

1つは、ユウちゃんのお陰で「この世界がどこなのか?」が判明すること。

ユウちゃんが見つけた「ある物」によって、この世界がどこなのか?が判る(予想が付く)ようになっています。

 

2つ目は、この無邪気な三歳児が、最期には翔くんたちの「希望」となることです。

個人的に、本作のラストは非常に良い終わり方だと思っていまして、どこがどうスバラシイのか詳しく説明したいのです。

そこに、ユウちゃんがどう絡んでくるのかも…。

でも、それだと単なるネタバレサイトと同じになってしまいますので…。

ガマンして書きません!(こちらも是非本編で確認してください)

 

このように、主人公の翔くん以外にも、ストーリーの進行上重要なカギを握るキャラクターが2名存在しています。

この2人に共通する点として、サバイバル生活をしていく上では「足手まといになる」と思われるキャラクターを選んでいることが挙げられます。

西あゆみちゃんは、足が不自由なため松葉づえが無いと歩くことができません。

そのため、何をするにも他人より一歩も二歩も遅れをとることになり、そのたびに翔くんたちが手を差し伸べなければならないのです。

また、ユウちゃんは三輪車に乗るしか能のない三歳児ですので、こちらも足手まとい以外の何者でもありません。

そんな、集団生活の足手まといにしかならない2人を、あえて物語の重要なキーキャラクターとして設定したところに、楳図先生の優しさを感じてしまうのです。

この2人を絶対に見捨てない翔くんも、ホント立派な本作の「良心」としての役割を果たしています。

 

以上が、極力ネタバレなしで書いた本作の主な見所なのですが、上手く伝わりましたでしょうか?

それもこれも、できるだけ素の状態で「漂流教室」という名作を楽しんでいただきたいという配慮からですので、何卒ご了承ください。

但し、本作の見所は、まだまだ他にもあります。

基本的には「SF」作品ですので、SFっぽい要素も随所に盛り込まれていますし、人間の「闇」の部分だけでなく、子供たちが知恵を振り絞り力を合わせて困難を乗り越えていくシーンなども沢山描かれています。

そして迎える最終回を、あなた自身の感性で受け止めていただければ、「あ~、良いマンガ読んだな~」と、きっと思っていただけるに違いありません。

 

【漂流教室】

大和小学校の6年生・高松翔(たかまつ しょう)は、授業中にもの凄い爆音とともに激しい地震に襲われます。揺れはすぐに収まりましたが、学校の外を見てみると…。何と、辺り一面砂で覆われ、荒れ果てた大地が広がっていたのです。

 

そんな楳図先生の最大のヒット作は、同じくサンデーに連載された「まことちゃん」になるかと思いますが、個人的には先生の「ホラー作家」としての真骨頂が描かれたこちらの作品が好きです。

ホラー漫画の名作「神の左手悪魔の右手」。

未読の方は、是非。(でもグロが苦手な方には、おすすめしません…)

【神の左手悪魔の右手】

よくもまぁ、これだけ「おぞましいモノ」を漫画にできるな、という楳図先生ならではの連作集です。ただ、読み始めたら一気に最後まで読まずにいられないでしょう!
文庫版は全4巻ですが、電子書籍版は全2巻に再編されています。

 

一方、「まことちゃん」は完全な「ギャグ漫画」ですので、「漂流教室」⇒「神の左手悪魔の右手」⇒「まことちゃん」のコンボで、楳図作品のギャップを楽しむのも良いかもしれませんよ。

【まことちゃん】

楳図かずお/週刊少年サンデー/全24巻
ゲッゲッゲーッ!! ぼくちゃん、すなおでよい子の代表選手・沢田まことれ~す!! だが、世紀のアイドル・まことちゃんを待つのは、百たたきか逆さはりつけ!? 全国に大ブームを呼んだエネルギッシュ・ギャグ!!

 

尚、子供たちが懸命に生き抜く姿を描いた名作漫画として、こちらの2作品も紹介しています。

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